【弁護士解説】感覚情報保護法における「移譲」と「複製」の境界線
データの一定割合移譲(分割移譲)に関する法的ルール

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この記事の執筆・監修 弁護士 智導 薫(第一東京弁護士会所属)

専門分野:知的財産権、感覚データ法規、ニューラルテクノロジー関連法務

「Halo」をはじめとする感覚共有デバイスの普及に伴い、個人の神経データや感覚記録を保護する「感覚情報保護法」の運用が本格化しています。本法では「無断での複製・改竄の全面禁止」を規定する一方で、「データ密度の分割を伴う移譲(譲渡)」という極めて特徴的な法構造を採用しています。本記事では、ユーザーや事業者が遵守すべき法的ルールを分かりやすく解説します。

1. 感覚情報保護法が定める基本原則(複製・改竄の禁止)

感覚情報保護法において最も厳重に規制されているのが、感覚データの「無断複製(コピー)」および「改竄(パラメータの不当編集)」です。

生体から取得された感覚データは、システム全体での総量や解像度の均衡(クオリアの希少性)を保つ必要があるため、元のデータを手元に残したまま同一データを増殖させる行為(複製)や、元の体験の文脈を歪める編集行為(改竄)は、第8条および第10条により一律禁止されています。

2. なぜ「一定割合だけの移譲(分割移譲)」が認められるのか?

一方で、本法第14条では「感覚データの移譲(譲渡)」が正式に権利として認められています。ここで注目すべきは、データ全体の100%をそのまま渡すだけでなく、「一定割合(50%など)だけを減縮・分割して移譲する」ことが合法とされている点です。

💡 感覚データの「分割移譲」における法的仕組み
  • データ密度の減縮(保存原則): データを友人に50%移譲する場合、自身の元データも50%の密度(解像度)へ減縮します。全体として存在するデータ総量は不変であるため「複製」には該当しません。
  • 改竄との不相違: システム規格に従って全体比率を均等に薄める(例:4 8 2 2 4 8 → 2 4 1 1 2 4)行為は、「改竄」ではなく正当な「データ分譲(プロポーショナル・スプリット)」として扱われます。

これにより、「体験の複製による無制限な流出」を防ぎつつ、「感動を相手と分け合う(互いに密度を分け合って所有する)」という体験共有の正当な流通が法的にも担保されています。

3. 実務上の具体的運用ルール(100%移譲 vs 分割移譲)

移譲の手続きを行う際、ユーザーは以下の2つのパターンのいずれかを選択することになります。

① 完全移譲(100%移譲)

手元の感覚データを完全に消去・移動し、100%の密度のまま第三者へ所有権を付け替える行為。いわゆる「中古譲渡」に該当し、合法です。

② 分割移譲(一定割合の共有移譲)

指定した割合(例:50%)だけを抽出し、譲渡側・受渡側の双方が均等に減縮されたデータ(例:50%ずつの密度)を所有する行為。これも正当な移譲手続きとして認められます。

4. よくある質問(Q&A)

Q. 50%に分割して分け合ったデータを、後から合体させて100%に戻すことはできますか?
A. はい、可能です。分割された同一のデータIDを持つ要素同士を再び同一アカウントへ「統合移譲」することは、データの復元処理として認められています。
Q. 手元に100%のデータを残したまま、相手に50%のデータを「複製して送る」のは違法ですか?
A. 違法です。自分の手元のデータを100%に保ったまま相手にデータを生成して引き渡す行為は、実質的な「無断複製」となり、感覚情報保護法第22条(不正複製罪)の対象となります。

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